

2010 - 01

読者の皆様へ
2010年がスタートし、早、ひと月が経とうとしております。ドイツNRW州では、今年「電気自動車(EV/HEV)」を主要テーマと位置付け、次世代産業である電気自動車の事業化を積極的に推進して参ります。これに伴い、当ニュースレターでも一年にわたり「電気自動車(EV/HEV)」特集を組み、NRW州のプロジェクトをご紹介いたします。
また新企画で、NRW州内の魅力あふれる都市を紹介するニュースレターを配信することとなりました。配信は各奇数月の月末、合わせて7都市の概要や主要産業を順次ご紹介して参ります。その第一弾は「2010年欧州文化都市」に指定されたエッセン市で、1月29日配信予定です。より身近にNRW州を知っていただくきっかけになれば幸いです。どうぞ、お楽しみに!
株式会社エヌ・アール・ダブリュージャパン
代表取締役社長 ゲオルグ・K・ロエル
NRW州の再生可能エネルギー分野は2008年も引き続き拡大した。2008年、NRW州では再生可能エネルギー関連装置の製造・設置・サービス企業は約3200社を数え、2万2400人が従事、これは前年比約6%の伸びとなった(2007年度就業者数:約2万1200人)。同時に売上高も66億ユーロで約20 %の伸び。(2007年度: 約55億ユーロ)。これらの数値はNRW州経済省の委託を受けた国際経済フォーラム再生可能エネルギー(www.IWR.de)が実施した調査「2008年度NRW州再生可能エネルギー産業状況」によるもの。
NRW州の2008年度のエネルギー・環境収支では、再生可能エネルギー(坑内ガスを含む)の使用により、電気・熱・燃料の3分野の二酸化炭素排出量が新たに80万トン削減され、削減量は約1650万トンとなった(2007年:約1570万トン)。この数値をNRW州のエネルギー・気候保全戦略の基準年である2005 年(CO2削減量 = 約1200万トン)と照らし合わせると、2005年から2008年の間にCO2削減量は約37.3%増加したことを意味する。また、調査報告書の「対策を実施しなかった場合(Business as usual)のシナリオ」と比較すると、2005 年の基準年から2020年までに更に1000万トンまでのCO2を削減できるとのことである。
2008年、NRW州では再生可能エネルギーによる発電量は約106億キロワット時に上った。これは、ドイツ全体の932億キロワット時の約11.4 %を占める。
NRW州では、風力及びバイオエネルギーが再生可能エネルギー電力全体の90%を占め、その中核を成している。また再生可能エネルギー源による熱生産では、エネルギー源となる炉のリストが拡充されたことで、2008年には前年比で61%増の約90億キロワット時の熱が生産された。これにより、2008年、ドイツ全体の再生可能エネルギー源熱生産量(104 テラワット時)に占めるNRW州の割合は約9%となった。 これに対し、2008年、バイオ燃料分野は若干縮小し、NRW州のバイオ燃料生産量は約49万トンに減少した (2007年: 約56万6000トン)
NRW州政府は各再生可能エネルギー研究機関やコンピテンスセンターを支援しているが、拠点・構造分析調査を実施した国際経済フォーラム再生可能エネルギー(IWR)によれば、応用研究をさらに集約させること、再生可能エネルギーコンペテンスセンターを目的別に拡充すること、また研究機関の体系的な業務拡大を実施することが更に必要と提言している。また、産学連携ネットワークを充実させることでNRW州をより強力な拠点に発展させることができると提言している。例えば、ボーフムの地熱センター及び計画中の風力技術コンペテンスセンターなどを支援することにより、研究機関やコンペテンスセンターの体系的整備、さらにはNRW州の拠点強化が期待できるとのことである。
www.wirtschaft.nrw.de/2000/2100/2110/091208_1/index.php
デュイスブルク・エッセン大学は、ドイツの大学プロジェクトでは最大級となるe-モビリティー大型研究プロジェクトを1月4日にスタートさせた。このプロジェクトでは技術、ロジスティクス、更には安全問題や社会の受入れ度合いなど、e-モビリティーに関するあらゆるテーマを扱う。
同大学の15講座から総勢50人以上の専門研究者が参画するこの大型プロジェクトでは、NRW州などの大都市圏でいかにe-モビリティーをスムーズに実践できるかを研究していく。ドイツ連邦交通省の第二次景気刺激プログラムから1500万ユーロの助成を受け実施されるプロジェクトには、ケルンのフォード社及びエネルギー供給会社Rheinenergie社が参加している。今後2年間にわたり、エンジニアリング、経済、物理、情報科学及び心理学など各種分野の専門研究者が研究に取り組んでいく。同プロジェクトの広報担当は自動車産業専門家のProf.フェルディナンド・ドゥーデンフェファー氏である。
2年間のプロジェクトの間、フォード社が提供する25台の電気自動車がケルンとその周辺を走行することになる。Rheinenergie社は充電ステーションを設置する。一方、専門研究者は利用者の受入度合いをテストし、部分的数値から社会全体の受入れ度合いを算出する。テストを実施するためにデュイスブルク・エッセン大学は車両・バッテリーのシミュレーションテストスタンドを開発する。このテストスタンドではあらゆる道路区間、交通状況、道路状況及び充電プロセス、さらには2万台の電気自動車及び数千台のバッテリーステーションをシミュレーションすることが可能。シミュレーションでは交通渋滞の専門家Prof.ミヒャエル・シュレッケンベルク氏が有する数10億の交通データが活用される予定。こうしてあらゆる障害や渋滞をシミュレーションして、バーチャルな電気自動車をNRW州のアウトバーンA40や他の道路網に投入し、現実に近い形で走行シミュレーションができる。
同プロジェクトのもう一つの重要研究テーマは車両の安全性である。事故や救助の際、あるいは修理工場において高圧高電流の取扱いに問題が生じないか調べる必要がある。また人間と「音のしない」電気自動車との関係、つまり人間に対しどのような危険性が潜んでいるのか、いかにそれを防止できるのかも解明しなければならない。一例としては、電気自動車を人間に認識させながら、しかし喧しくない適切な技術があるかどうかの研究も必要である。他の道路使用者(運転者・歩行者)が簡単に認識し易くするためには、道路建設技術の分析も必要となってくる。このような研究活動によって、電気自動車が少なくとも一般自動車と同じ安全基準を満すようにする。
e-モビリティー研究の対象は自家用車に限られる訳ではなく、小型電気商用車も含まれる。ロジスティクスのサービス業者が電気自動車を使用することで大都市圏の大気質の改善が図られることが期待されている。
http://www.uni-due.de/de/presse/meldung.php?id=1920
2009年12月のNRW.ifo景況感指数は11月に目に見えて回復した後、再び僅かながら悪化した。ifo景況感調査では、現況を前月よりやや好調と評価しているものの、11月に見られた将来への確信はわずかとなった。
製造業の12月の景況感は、企業各社が現在の取引状況を過去11カ月ほど厳しく評価していないにもかかわらず、前月同程度に留まった。輸出機会は増加しているものの、将来見込みを前回調査時ほど肯定的に見ていない。
建設業における景況感はいくらか改善した。現況は基本的に不利なままだが、今後の推移について悲観的な見方は目に見えて減少した。
小売業の景況感は11月に著しく改善した後、再び目に見えて悪化した。現況および今後6カ月の取引見込みも、前月より著しく悪い評価を下した。一方、卸業の景況感はさらに改善した。現況評価は前回と比べ明らかに改善。しかし取引見込みについては懐疑的な見方が再びやや優勢を占めるようになっている。
NRW州の景況感指数(指数:2000年=100 季節要因調整済) 出典:ifo景況感調査
| 月/年 | 12/08 | 01/08 | 02/09 | 03/09 | 04/09 | 05/09 | 06/09 | 07/09 | 08/09 | 09/09 | 10/09 | 11/09 | 12/09 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 景況感指数 | 81.6 | 80.4 | 80.9 | 79.4 | 81.2 | 81.6 | 84.8 | 85.9 | 88.8 | 90.0 | 90.9 | 94.2 | 94.0 |
| 現況 | 88.1 | 85.9 | 83.7 | 81.0 | 81.9 | 80.3 | 80.3 | 82.5 | 85.4 | 84.7 | 87.6 | 90.0 | 90.5 |
| 期待指数 | 75.6 | 75.2 | 78.1 | 77.8 | 80.5 | 83.0 | 89.5 | 89.4 | 92.2 | 95.5 | 94.3 | 98.5 | 97.7 |
NRW州の景況感指数 2009年12月 (指数:2000年=100 季節要因調整済)

対象:製造業、建設業、卸および小売業
出典:ifo景況感調査
ルール・ボーフム大学に欧州タンパク質研究センター(PURE / Protein Research Unit Ruhr within Europe)が設立されるに当り、NRW州イノベーション省は3720万ユーの助成を実施する。同研究センターでは、研究者及び医師合わせて約100人が癌の早期発見と最先端治療を目指して研究活動を行っていく。加えてアルツハイマー及びパーキンソン病などの老人病治療の研究にも取り組む。
ピンクヴァルトNRW州イノベーション省大臣は、「欧州タンパク質研究センター(PURE)は診断・治療方法と基礎研究を結びつける役割を果たす。この設立によりルール・ボーフム大学の優れた研究能力が再確認された。」と述べた。同研究センターは、一定の移行期間を経て、ルール・ボーフム大学の医療関連キャンパスの建物に設置される。
ルール・ボーフム大学のProf.ヴァイラー学長は、「欧州タンパク質研究センター(PURE)は当大学のタンパク質研究学科に刺激を与えてくれるであろう。エクセレンス大学を目指す上で重要な存在となる。また同研究センターは大学の基礎研究と医療関連キャンパスの橋渡しをしてくれるだろう」と期待を述べた。
欧州タンパク質研究センター(PURE)は革新的な診断・治療法の開発を目的とし、生命活動の主役であるタンパク質の研究を行う。研究の中心となるのがいわゆるタンパク質マーカーの開発である。欧州タンパク質研究センター(PURE)では、ルール・ボーフム大学の優秀な基礎研究者とルール地域の大学病院の熟練医が協力して研究に取り組んでいくことになる。
欧州タンパク質研究センター(PURE)の広報担当兼ルール・ボーフム大学の生物物理講座担当教授であるProf.クラウス氏は、「NRW州政府から力強い助成を得ることができて非常に嬉しく思う。この支援を受けることで、大学の基礎研究の成果を迅速に医療の現場に役立てて行きたい」と抱負を語った。
ラインランド地域はベルリン及びミュンヘンを抑えてドイツ最強の研究地域となった。これは最新のデータによる結果である。アーヘン商工会議所のベルト・ヴィルツ(Bert Wirtz)会長は、新しく発行されたラインランド・研究ハンドブックを紹介するに当り、「ドイツ研究財団連盟が先に実施したドイツ企業の売上高対研究開発費の比較調査によれば、ラインランド地域の企業の売上高対研究開発費の割合が最も高かった」と、ラインランド地域がドイツ最強の研究地域であることを強調した。さらにドイツ学術振興会(DFG)が大学や研究機関を対象に調査発表している助成額ランキングでも、ラインランド地域の研究機関は2009年、5億5000万ユーロの研究助成を得てトップを占めた。
ラインランド・研究ハンドブックは、地域内の産学間連携を強化することを目的とするもので、企業にとって重要と思われるラインランド地域の学術研究機関全てを網羅している。特に、自動車産業、素材開発及びライフサイエンス等に重点を置いている。これら技術専門分野に並び、マネジメントや経営の学術研究機関もリストアップし、同分野での産学連携も促進していく。
ハイテクシステムメーカーであるドイツメカトロニクス社(本社:メヒェルニッヒ市)はラインランド地域の大学との交流から大きなメリットを得ている。同社の開発部長ハインツ・ユーステン氏は、「大学が持つ知識と研究設備を利用することにより、プロダクトソリューションを見つけ出し、新しい市場に参入することができた。更にイノベーション賞も受賞することができた」と述べている。同じように産学連携のメリットを得ているのがEvocatal社である。同社はデュッセルドルフ大学からスピンオフしたホワイトバイオ企業。サイエンス部長のDr.レゲビー氏は、「 アーヘン工科大学のインフラ及びノウハウを活用することで、医薬品製造の技術プロセスに合った変異酵素を正確に作成することができるようになった」と述べている。
シュトゥックラートNRW州イノベーション省次官は、「資源の少ない国にとって、知識は経済発展の原動力となる」と知識の重要性を強調した。ラインランド地域ではバイオ、医学、ナノ・マイクロテクノロジー、新素材及びエネルギー・環境研究等の分野で活躍する多数の優秀な研究者が、次世代の開発を行っている。シュトゥックラートNRW州イノベーション省次官は、「世界トップの座を目指して研究活動を行っている。この活動をさらに充実させてNRW州をドイツのイノベーション州No.1に発展させて行く」と意気込みを述べた。
ラインランド地域のGDPに占める研究開発費は2.3%、また市民1000人当たりの研究開発分野就業者数は5.7人。これはNRW州の中でも断トツである。2.3%はリスボン条約が唱える3%にはまだ届いていないが、大学や研究機関が魅力的な技術移転プログラムを提供することで、この差を縮めていくことができる」とアーヘン工科大学のProf.シュマハテンベルク学長は自信を見せている。ラインランド地域にはNRW州立大学の約半分が立地している。更にユーリッヒ研究センターとドイツ航空宇宙センターという代表的な研究機関が拠点を構えている。加えて、複数のマックスプランク研究所やフラウンホーファー研究所、ライプニッツ学術連合の研究機関及び産業研究協会連合(AiF)の研究機関も立地している。このような研究機関の集積を背景に、ラインランド地域は、ドイツ学術振興会(DFG)が実施した助成額ランキング調査でベルリンやミュンヘンを抑えドイツ最強の研究地域となっている。
アーヘン商工会議所のヴィルツ会頭は、「研究ハンドブックを発行したことで最初の一歩が踏み出された。今後オンライン化する計画で、データを常に更新し、学術界の早い変化にも対応したい。また企業は適切な研究パートナーを見つけ易くなる」と今後の計画を語った。
研究ハンドブックは下記からダウンロード可能
www.aachen.ihk.de/forschungshandbuch



